朴槿惠大統領は25日、任期5年の第18代大統領に就任した。朴大統領はソウルの国会議事堂前で行われた就任式で、「国民全員がもう一度新たな『漢江の奇跡』を起こす主人公になるよう力を合わせ、国民幸福、希望の新時代を切り開こう」と呼びかけた。また、①経済復興②国民幸福③文化隆盛の3大国政目標を提示し、目標実現へ全力を捧げると約束した。「国民幸福」と「希望の新時代」を掲げた朴槿惠政権が、国民の期待に応えられるのか注目される。就任式には歴代最多の7万人が参列した。
就任演説は約20分。特徴的だったのは「国民」という言葉を57回も使い、「国民幸福」を高らかに宣言した点だ。
「国民個々人の能力発揮で国家発展する新しいシステム」「国家発展と国民幸福が好循環する新たな時代」「国民個々人の成長力がコンテンツとなる時代」など国民が主人公になるパラダイムシフト(根本的変化)を力説した。
朴大統領は演説で、経済問題に多くを言及。「グローバル金融危機以降、資本主義もまた新たな挑戦に直面している」という厳しい認識のもと、「新しい道」を開拓する必要性を説いている。
キーポイントとなるのが、経済復興だ。朴大統領は父である故朴正熙元大統領が成し遂げた「漢江の奇跡」の再現をめざし、その方法として科学技術とすべての産業と結びつけて高付加価値を創出する「創造経済」を新政権の成長エンジンにする考えを表明した。
創造経済とは、「科学技術と産業の融合であり、文化と産業の融合。産業間の境界をなくして創造の花を咲かせることだ」と強調した。
「創造経済」とともに掲げているのが、財閥や大企業偏重の経済構造を是正して中小企業支援を拡大する「経済民主化」だ。朴大統領は「公正な市場秩序が確立してこそ、国民が希望をもって働けると思う。努力すれば誰でも立ち上がれるよう、中小企業の育成政策を打ち出す」と強調した。
南北問題では対話路線を打ち出しているが、北朝鮮が核実験をするなど緊張を高めている。朴大統領は「民族の生存と未来に対する挑戦であり、その最大の被害者は北朝鮮にほかならないという点を明確に認識すべきだ。北朝鮮が一日も早く核を手放し、平和と共同発展の道に進むことを願う」と促した。
朴大統領は就任式後、車でパレード、光化門広場で開かれたイベントに出席した。夜には青瓦台(大統領府)迎賓館で各国来賓を招待して夕食会を開いた。就任式には日本から麻生太郎副総理兼財務相、森喜朗、福田康夫両元首相ら10数人が出席した。朴大統領は麻生副総理との会談で、未来志向の関係構築のためにも歴史認識を正すことが重要だと強調した。