韓日中3カ国間のFTA(自由貿易協定)締結へ向けた初交渉が26日から3日間、ソウルで行われた。3カ国の合計GDP(国内総生産)は14兆2840億ドル(2011年)に達し、世界GDPの20・5%を占める。韓日中FTAが実現すれば、NAFTA(北米自由貿易協定)、EU(欧州連合)と並ぶ世界3大経済圏となる。今回の交渉開始で東アジア経済統合へ向けての大きな一歩を踏み出した。交渉の行方に世界も注目している。
初交渉には、韓国側から崔京林(チェ・ギョンリム)・産業通商資源部通商次官補を首席代表に外交部、企画財政部、農林畜産食品部などの担当官が出席。日本からは鶴岡公二・外務審議官、中国からは兪建華・商務部部長助理(次官補)がそれぞれ首席代表として出席した。今回は交渉分野や進め方などを中心に協議。工業製品、農産物の関税引き下げのほか、貿易・投資・規範、サービス市場開放、技術標準の単一化なども交渉の対象となった。
交渉に臨む3カ国の姿勢には、それぞれに違いがある。韓国は早期締結に積極的な日中に比べ慌てず鷹揚に構えている。すでに米国、EUとFTAを結んでおり、アジアの主導権争いをする日中の神経戦に振り回される必要は無い立場だ。むしろ、韓日、韓中FTAの大枠になることを期待している。産業通商部関係者は「韓日中FTAという大きな傘をまず広げて、その下で各国間のFTAで細密に補完すればいいと考えている」と語った。
また、韓国は韓日中FTAをASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国、豪州、ニュージーランドを加えたRCEP(包括的経済連携協定)の踏み台にしたい考えだ。
日本は、EUとのEPA(経済連携協定)を推進する一方、TPP交渉参加を決めるなど、これまでの遅れを挽回することに力を入れている。輸出市場で先にFTAを締結した韓国との競争で不利になっているからで、自由貿易の推進が叫ばれている。韓日中FTAに積極的なのも、このような流れの一環で、自動車などの関税下げを期待している。
中国は、世界金融危機後、米国など主要輸出対象国の需要鈍化に対応するため、周辺国とのFTA推進に積極的に乗り出しており、韓日中FTAの早期締結を強調している。アジア域内での経済的影響力を強化する狙いだ。また、米国が主導するTPPの牽制もある。これまでは歴史的背景を理由に慎重だった中国の態度が変化していった理由を、「アジアの経済圏で米国が主導して貿易や投資のルールが作られるのを警戒したため」との分析もなされている。
韓日中FTAのGDP押し上げ効果は、韓国4・53%、日本0・74%。中国2・27%と試算されている。交渉は年内にあと2回ほど予定されており、3年後の妥結をめざしているが、どこまで自国の利益を確保できるか、せめぎ合いの交渉が続きそうだ。