朴槿惠新政権の国政哲学のキーワードは「創造経済」。それを実行するため各部署から政策案が提出されたが、従来の事業に「創造」という文字をつけた旧態依然とした発想から抜け出ていないものが少なくなかった。このため、朴大統領は改めて、パラダイムの転換の必要性を強調した。新しい時代に対応した実践的な政策が急がれている。
最近、新政権初の政府・与党ワークショップが開かれた。出席した与党議員から「そもそも創造経済とはどういう意味か」「あまりにも学者的だ」という概念論争まで起こった。
創造経済は、既存のパラダイムでは韓国経済が直面する低成長の泥沼から抜け出ることが難しいため、創意的な方法で未来の成長動力を見出し、新しい雇用を創出しようというものだ。そのための具体的政策が急がれる時期に、概念論争が起こること自体が怠慢のそしりを免れない。
各部署の政策にも、「創造経済」という国政哲学が十分に反映されていない。朴大統領は、国土交通部と環境部の業務報告を受けた際、4大河川整備事業やダム建設など治水事業で国土交通部と環境部の間にあつれきが生じたと指摘。両部が創意的に協業して開発と環境のパラダイムを転換し、調和の取れた持続可能な国土管理をしてほしいと求めた。
玄旿錫(ヒョン・オソク)副総理は10日、ベンチャー企業家らと懇談し、「創造経済の核心は先端技術の開発にあるというよりは、新たな技術とサービスが事業化され、創業が活性化しながら、経済が成長していくことだ」と強調した。
新政権で重要な役割を担う中小企業庁長に指名された韓正和(ハン・ジョンファ)氏は「これは一種の国家アジェンダとして、ビジネスパラダイムを変えることだ」と強調。「年間売上高が1000億ウォンを超える韓国企業は5年前の100社から現在は350社ぐらいに増えた。より多くの企業が中小・中堅企業へと成長できるように支えていきたい」と語った。
サムスン経済研究所は創造経済が進めるべき政策として①人材育成②ICT(情報通信技術)融合③異種融合④大企業と中小企業の共存を挙げている。特に、異種産業間の創造的な融合を通じた世界市場開拓の可能性を説いている。
創造経済の核心は、コンテンツだという指摘もある。一つのストーリーが小説で人気を呼ぶと、これは映画・アニメ・ドラマ・ゲーム・演劇・ミュージカルなど多様なジャンルのコンテンツとして再誕生する。さらに電子書籍などの機器に搭載され、もう一度進化する。
韓国は今まで製造業を基盤にし、輸出をてこに成長してきた。また、IC(情報技術)や韓流文化を発展させてきた。これらを結合させ、新しい創造経済モデルを発展させれば、大きな経済的シナジー効果が期待できる。思い切ったパラダイムの転換が求められているようだ。
一方、全国経済人連合会は、創造経済に呼応すべく、1000億ウォン規模の「創造経済ファンド」を設立、創業支援を強化する。