長編記録映画「百萬人の身世打鈴|朝鮮人強制連行・強制労働の恨」(前田憲二監督)がこのほど完成、今月末に都内で記念上映会が行われる。
日本各地に住む強制連行・労働経験者から聞き取り調査を行ったもので、4年の歳月をかけた映画だ。
製作費用は3400万円。監督自ら先頭に立ってカンパを集め、集まった金額は830万円。不足分は前田監督が借金をして製作にあたった。まさに執念の映画化である。
元々ドキュメンタリー映画を作ってきた前田監督は、日本の各地に朝鮮文化の痕跡が残っている事に気づき、韓国と日本の古代史をテーマにした「神々の履歴書」などの作品を作ってきた。
そして「韓日を考えるとき、近現代史、特に強制連行をテーマにした作品を作る必要がある」との強い信念で、今回の企画を進めたものだ。
映画には、軍人・軍属、元従軍慰安婦、広島の被爆者など、日本の植民地支配により辛酸をなめた17人が登場する。
慰安婦にさせられたうえ、軍人に切りつけられて大けがをした女性、強制連行された上に、事故で体が不自由になった男性など、どの証言も凄惨な内容である。直視するのはつらいが、真実の歴史の重みがある。
ドイツの高校授業では、アウシュビッツ強制収容所跡地を訪問する体験学習を行うなど、歴史教育の体制が整っている。大虐殺という過ちの歴史を、二度と起こさないという教訓からだ。
それに比べて日本では、学校教育でほとんどと言っていいほど、植民地支配の歴史が教えられていない。その点を考えるとき、前田監督の映画は貴重だ。
監督は「日本の植民地支配とはどういうものであったのか、韓日と在日の若者に知ってほしい。それが21世紀の日韓の友好につながるはず」と話す。上映時間3時間45分の長編だが、ぜひ見てもらいたい。L