韓日間の産業技術交流が活発に行われているなかで、技術交流促進のために大韓貿易投資振興公社(KOTRA)東京館が先ごろ、これまでとはちょっと違った投資商談会を開いた。
日本の部品メーカーを対象にしたもので、その技術を韓国へ移転して韓国の中小部品メーカーの競争力を強化しようというものだ。以前から指摘され、対日貿易赤字の原因ともなっている韓国中小企業の基盤の脆弱(ぜいじゃく)さを解消するための対策の一つだ。
KOTRAは中小部品メーカーが集積している東京・大田区に目を付けた。同地域は日本の経済発展の原動力の一つとして評価されている工業地域だ。米航空宇宙局(NASA)や米国防省からも注文が来るほど部品製造における高度技術を持っている。
KOTRAは、商談会に併せて同地域の中小企業を対象に調査を行った。調査では従業員5人以上の企業2060社のうち198社(9・67%)が回答。この中で韓国との協力に関心を示したのは71社にのぼった。こうした結果などを分析して「韓日中小部品産業の協力方案」という報告書をまとめた。
実は、大田区の部品企業は高度技術を持っていながら大きな悩みを抱えている。つまり、人件費の上昇で価格競争力が低下していることや、韓国・台湾などの追い上げで、生き残るための生産拠点の移転が迫られていることだ。また、人材確保難や後継者不足も技術力維持の不安材料となっている。しかし、こうした状況は、韓国側から見れば日本から生産拠点を移転させる絶好の機会ともいえる。
報告書は、韓日部品産業協力案として韓国への生産拠点・技術の移転、そのための制度整備、韓国を含む市場の共同開発などを提言している。韓日の産業は競合分野が多いが、お互いの発展のための協力の道を探ることが必要だろう。(T)