東京・渋谷のファッションビル「パルコ・クアトロ」に、ソウル・東大門市場にあるファッション店が進出、先月末にオープンした。
婦人服・雑貨店など約50店舗が入居、最新商品を1週間単位で入れ替える商品サイクルの速さが魅力である。
繊維産業は、韓国経済成長の立て役者だった。60年代から70年代にかけて、低価格が売り物の韓国製品は世界中に輸出されて、多くの外貨を稼いだ。日本でもバーゲンの目玉商品には韓国製衣服が多数並んでいた記憶がある。
その韓国繊維産業の中心地であるソウルの東大門市場が開かれたのは、1905年のこと。ゴム靴、バケツ、歯磨き粉などの生活用品を商いする商人たちが集まって作った。
韓国戦争の混乱で一時は廃虚となったものの、休戦になると米軍の払い下げ品やリサイクル品などが売買されて、復興への道を歩んだ。
その後、繊維産業を中心とした輸出政策が取り入れられると、同地域近辺には服の加工メーカーが多く集まり、安価な服や下着類の一大生産基地となったのである。
他のアジア諸国が韓国よりも低価格の製品を輸出するようになってからは、東大門市場もすたれたが、数年前からはファッションビルが立ち並び、最新ファッションを紹介するファッション基地へと変貌を遂げて、再び活況を呈すようになった。最近は日本の観光客も訪れるようになっている。
このように東大門市場は、韓国繊維産業の隆盛を示すバロメーターなのである。
国境を超えて若者ファッションが均一化し、また韓日の文化交流が進む中、韓国最新ファッションを日本に直接売り込むまでになった東大門市場。
今後、日本人や在日の若者の心をどれだけ引きつけられるか、健闘を期待したいものだ。(L)
2000/10/06