北朝鮮の平壌で開かれている第7回平壌国際映画祭(13―21日)に山田洋次監督が特別招待され、初めて日本映画が北朝鮮で公開される。
平壌映画祭は87年に始まり、2年に一回の割合で開催されている国際映画祭で、参加国はロシア、中国、ドイツ、スイス、イラン、エジプトなど30カ国以上におよぶ。
日本ではなじみのないキプロスの映画なども出品され、劇映画だけでなく、ドキュメンタリー、アニメ、TVドラマと多彩な作品がエントリーし、マーケットも開催されるという。まだ知名度は低いが、これからが楽しみな映画祭だ。
日本から招待されたのは、いずれも山田洋次監督が手がけた松竹作品。世界最長の映画シリーズ(48本)としてギネスブックにも登録されている、「フーテンの寅」でおなじみの「男はつらいよ」2本、「家族」「学校」「釣りバカ日誌」「十五才|学校Ⅳ」の計六本が上映される。
故金日成主席が大の「寅さんファン」であったことや、金正日総書記が自分でも映画製作に携わるほどの映画マニアであることは、日本でもよく知られており、今回の日本映画初上映は、北朝鮮と日本の関係改善に風穴をあけるのではないか。
とりわけ、初めて日本映画に接し、どんな感想を抱くのか、とても興味深い。「寅さん」をはじめとする山田監督作品は、庶民の人情あふれる世界を描き、ホロリとさせられる。欧米人には理解しにくい人情の機微が、北朝鮮でもきっと通じるだろう。
映画は、誕生してわずか百年で世界中の人々の心をとらえ、その影響力は大きい。大衆文化の解禁によって韓国で日本映画がブームとなり、日本でも「シュリ」がセンセーショナルなヒットをとばすなど、韓日交流に新しい潮流も生まれている。今回の北での日本映画上映をきっかけに、朝日間の文化交流が活発化することを期待したい。(N)