21世紀最初の1年がまもなく終わる。在日社会にとってはどういう1年だっただろうか。
在日韓国民団が中心になって進めてきた地方参政権獲得運動は、与党案として「永住外国人の地方選挙権付与法案」が提出されるところまで進展した。
しかし、自民党内の反対意見が根強く、継続審議のまま年越しとなった。与党内から出ている「国籍取得緩和法案」の行方も関連して、来年1月開会の国会で成立するかどうか、不透明な要素が強い。
94年に民団が地方参政権獲得方針を打ち出してから7年。韓国政府を通じての要請も何度も行われているにもかかわらず、日本の厚い壁はなかなか崩れようとはしない。運動の再構築が必要な時期に来ているのではないだろうか。
不正融資や横領などの事件により、商銀、朝銀の責任者の逮捕が相次いだ年でもあった。
作家の崔碩義さんは、「大衆の金融機関を食い物にする連中に激しい怒りをおぼえる」と語っているが、多くの在日同胞に通じる気持ちだろう。1億円以上を未返済で不良債権化した民団幹部は、民族信組を駄目にした共犯者と断定し、役職から年内に辞退すべきとの声も大きい。
ボクシングの世界チャンピオン・洪昌守のタイトル防衛、韓国Kリーグ所属の朴康造の活躍、金城一紀原作「GO」の全国上映、柳美里の私小説がベストセラー入りなど、在日3世の活躍が注目された。
そこからは、国籍や民族の枠に縛られず、大きく世界に羽ばたこうとする意思が強く感じられた。在日3世が在日4、5世や日本の若者の見本になる、そんな時代になってほしい。
”在日の世紀”に向け、さらなる人材の出現、そして在日組織の変革を期待したいものだ。(L)