日本で韓国ブームが続いているが、在日3世の若者たちからは「最近の韓国ブームは表面的なもの。韓国文化だけに関心が集まり、在日のことは忘れられていく心配がある」「韓国ブームが続けば、当然在日に関心を持つ人も出てくるはず」という意見が出ている。
自分たちを日本社会がどのように見ているのか、在日新世代の期待と不安が入り混じった反応といえる。
その意味で、在日をテーマにした内容もしっかりした演劇・映画の公開が相次いでいるのは好ましい。特に人気俳優が起用され親しみやすいのが最近の特徴だ。
在日青年と日本の女子高生の恋愛をテーマにしたスピード感あふれる青春映画「GO」の試写を見た知人や読者などから、本紙に子供たちにも見せたいとの声が多数寄せられた。主役の窪塚洋介の口をかりて、在日とはどういう存在なのか、何を悩んでいるのか、がいま感覚で分かるのがいい。
V6の井ノ原快彦と韓国の人気歌手S・E・Sのシュー主演で、現在上演中の演劇「東亜悲恋」の会場は、10代の少女たちで埋め尽くされていた。
甲子園を目指す日本人高校生と在日の部員との友情物語だが、大阪・猪飼野の朝鮮人密集地、民族差別をする日本人学生の醜い姿、日本による韓国植民地支配の歴史などが次々と描写されて興味深い。
脚本を書いた和田憲明氏も在日である。彼は、親の代に帰化した在日であると出自を明らかにし、「(自分が)実は在日であると知ったときの驚き、体験を思い出しつつ執筆した。韓国のイメージが変わったのを実感する」と述べている。
人気俳優やアイドルを見るために会場に足を運んだとしても、それで日本の若者が在日を理解するきっかけになればいいことではないだろうか。(L)