米国のアフガニスタンに対するテロ報復攻撃が始まり、今後、戦火が中東全体に飛び火しかねない危険性がある。中東は原油の宝庫であるだけに世界経済に与える影響は大きく、韓国もこれからのダメージをシミュレーションし始めた。どんな影響があるのか不安だ。
アフガンは20年に及ぶ戦乱にあったため、韓国も同国との貿易額は年間7000万㌦に満たない。だが、中東全体では大量の原油を依存しており、貿易額は300億㌦にもなる大変に重要な地域だ。本紙連載中の「鄭周永物語」に70年代にサウジアラビアのジュベール産業港の建設工事を9億㌦で受注した話が出ているが、韓国はオイルダラーの還流を求め、淡水化工事、発電所、港湾、道路、住宅など、それこそありとあらゆる建設工事を相次いで受注した。年間100億㌦を超す海外建設受注は外貨の稼ぎ頭だった。
韓国経済の助けになっただけでなく、数多くの韓国人労働者が灼熱の建設現場で働く姿は、現地の人たちに好感をもって迎えられ、友好関係も深まった。中東では、韓国企業は一流ブランドであり、イランでの9億5000万㌦規模の天然ガス陸上処理施設、アラブ首長国連邦での8億㌦の発電所工事、サウジでの6億㌦の淡水化プロジェクトなど、現在も多くの大型工事をかかえている。この地域で韓国企業はすっかり基盤を構築していることを物語る。
第2次オイルショックが起こった79年は、韓国は朴正煕大統領が暗殺される混乱期だったが、後を継いだ崔圭夏大統領が中東諸国を歴訪したことも思い起こされる。この中東重視の基調はいまも変わっていない。
「テロは断固排撃しなければならないが、戦火拡大には慎重でなければならない」という意見が韓国に多いのは決して偶然ではないように思える。(S)