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2001/09/14

<鳳仙花>◆韓日つなぐエンジニア◆

 韓国は造船、自動車、半導体、液晶、IT(情報技術)など幅広い分野でめざましい発展をとげ、いまや日本と肩を並べ、追い越すレベルにまで到達している。その半面、産業を支える中小企業が弱く、これが韓国経済の大きな課題だ。

 この韓国のアキレス腱克服に一役買っている一人の日本人エンジニアがいる。柿澤邦雄さん(63)は、心臓病をわずらって7年前に36年間務めた電機メーカーを退社した。心臓の手術をし、自宅で療養しているときに、取引先だった韓国の電機会社の会長から、「自宅で療養するのも、韓国で療養するのも同じこと。うちの会社に来てくれませんか」と誘いがあり、ボランティアなら引き受けますと、韓国に渡った。

 柿澤さんは、ソウル近郊の竜仁市にある大陸電機という電機メーカーの工場で技術指導にあたり、月の半分を韓国で、残り半分を日本で過ごしている。

 当初は、トップダウン式の一方通行による指示で現場の声が反映されないなど、経営方針の違いにとまどったが、日本で培った経験を生かして、徐々に品質管理の徹底や整理・整頓、ラインの効率化を進めた。コストダウンを図るため、外注先の従業員5人という小さな会社にまで出向き、作業手順から管理、不良品の廃棄まで徹底して指導したそうである。こういった地道な活動が徐々に成果を上げ、大陸電機は2000年度に70%の成長を達成した。

 柿澤さんは、心臓のバイパス手術経験し、体調は万全ではないが、韓国の中小企業の活性化に貢献し、韓日交流に役立ちたいという情熱は人一倍強い。

 柿澤さんのような人物は貴重な存在で、韓日間のかけ橋として、今後もがんばってほしい。(N)