1970年代にオイルダラーが大量に入り込んだ中東で、多くの韓国人建設労働者が熱砂の中で働いていた。灼熱の厳しい建設作業の上、イスラム教徒のお国柄のためアルコールも禁止されている。ストレスが発散できない彼らを元気づけたのがキムチだった。
韓国人にはなくてはならない活力の素であるキムチ。このキムチが国際食品規格委員会(KODEX)総会で、5年にたわる審議の末に「KIMCHI」の製品名で国際商品としての認定を受けた。世界の珍味であるキャビアやフォアグラまでとはいかないまでも、韓国の伝統食品が世界公認の食品になったことは喜ばしい限りだ。
KODEXは、62年に国連食糧農業機構(FAO)と世界保健機構(WHO)が共同設立した。食品貿易を促進するため、世界共通の食品規格を制定する国際機関であり、ここで国際食品に認定されれば輸出促進などの効果が期待できる。
この権威ある国際機関が最終的に決めたキムチの定義は、①塩漬けにした白菜に唐辛子粉やニンニク、ショウガ、ネギ、大根などで味付けし②適切な熟成と保存性を保つように包装し、低温発酵させた製品だ。キムチがすっかり食生活に定着した感のある日本では浅漬けが主流だが、発酵の効いた辛いキムチ人気も高まっており、品質競争に向かえばキムチのグレードアップにつながるだろう。
キムチはすでに国際食品としての広がりを持ち始めている。84年ロス五輪以来、選手村での公認食品に指定されており、米国の航空路線の中には機内食にキムチを取り入れているところもある。技術革新のおかげで臭いを気にせずに食べられるようになるのも時間の問題であり、今回の世界公認を契機にキムチが世界の食卓に広がるのも夢ではない。(S)