韓国と日本で最近、漢字を統一しようという動きが出ている。
韓国で先月末、「漢字文化圏内生活漢字国際問題討論会」(国際漢字振興協議会主催)が行われ、韓国、中国、日本、台湾、北朝鮮の5カ国による共通漢字設定を話し合った。
日本でも、「日韓、日中の交流が進む中、漢字文化圏の統一は友好促進に役立つはず。2002年を『漢字交流年』にしよう」との意見が出ている。在日社会でも、漢字統一を訴える文化人がいる。
「漢字文化圏には15億の民がいる。英語圏の17億と比べても遜色はない。共通漢字が使われれば、意思疎通がもっとよくなるはず」というのが、漢字統一論の背景にある。
中国発祥の漢字は、韓国、日本、琉球、ベトナムなど周辺諸国で盛んに使われ、漢字の勉強が熱心に行われた。言葉が通じなくても、漢字による筆談で話が出来たという。
しかし長い年月を経て、それぞれの民族の言葉に合わせて漢字も改編されたり、衰退していった。
韓国ではハングル全盛であり、日本は独自の漢字文化が発達。中国は略字を使用している。ベトナムや北朝鮮のように、現在では漢字教育を行っていない国もある。旧字をきちんと使っているのは、台湾だけだろう。
比較文化が専門の田中優子・法政大学教授は、「漢字統一は大変だし時間がかかるだろうが、やって見る価値はある。いまはワープロ全盛で手書きをする必要もないし、小さいときから漢字を教えれば大丈夫。せっかくの漢字文化が衰退していくのは惜しい」と話している。
漢字文化を今後どうしていくか、学者だけでなく、私たちも考えて見る価値はありそうだ。(L)