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2001/05/18

<鳳仙花>◆在日のハンセン病患者◆

 今月11日、熊本地裁はハンセン病国家賠償訴訟で国の隔離政策の誤りを指摘し、立法上の責任を問うなど、原告側「全面勝訴」の判決を下した。

 あまり知られていないが、ハンセン病患者には在日韓国人が多い。全国13の国立療養所には約4500人の患者が収容されているが、そのうち約500人が在日といわれ、1割を超えている。

 ハンセン病は、らい菌によって起こる慢性の細菌感染症で、顔面の変形など皮膚病と身体の麻痺を伴い、一種の奇形を引き起こす。栄養失調や極度の過労によって発病するが、植民地時代の過酷な強制労働や劣悪な生活環境のなかで、特に在日の感染者が多い。在日の患者は、国の強制隔離政策で日本人患者と同じように療養施設に押し込まれ、解放後も祖国に帰れず、悲惨な生活を強いられてきた。徴用し、炭坑などで働かせ、病気になったら隔離してしまう。これはもう国家による犯罪といってよい。

 東京・東村山市に多磨全生園というハンセン病施設がある。ここにも約700人の患者の中に約50人の在日韓国人がいる。数年前からボランティア団体などが支援活動を続けているが、96年の「らい予防法」廃止で自由の身にはなったものの、感染するのではないかという社会の根強い差別や偏見、長期にわたる収容で肉親との音信が途絶え、頼れる者がないといった事情から、施設を出たくても出られない状況だ。

 在日の患者は、「アリラン会」という親睦団体をつくり、数年前から在日2世の舞踊家、金順子さんの指導で韓国舞踊を学び始めた。毎年11月の文化の日に行われる全生園祭で、農楽などを披露し、入園者を楽しませている。みな70歳を超えた高齢者で、あと何年生きられるか、時間の問題だ。

 今回の熊本地裁の判決で、ようやくハンセン病患者の人権回復に希望が見えてきたが、在日患者がせめて祖国で余生が送れるような措置を講じてほしいと思う。(N)