日本の韓国植民地支配や侵略を正当化する記述のため物議を呼んでいる「新しい歴史教科書をつくる会」の2002年版中学歴史教科書に、韓国はもとより中国や北朝鮮の反発が強まっている。同じ時期に、野呂田芳成・衆院予算委員長の侵略戦争を正当化する発言も飛び出し、日本の歴史認識に対する不信の声が高まりつつある。
こうした教科書記述や閣僚発言による歴史わい曲は、これまで何度も繰り返されてきた。日本政府の対応次第では、外交問題に発展するのは避けられないだろう。
ところで、最近見たテレビで印象に残ることがあった。国際的に活躍するバイオリニストの諏訪内晶子さんが、出演した番組で米国留学時代に一番心に残っていることとして次のように語った。
<寮に入ってすぐ韓国籍の寮生から「私の両親は日本語が話せるの。それがどういうことだかわかるでしょ」といわれ、以後、一言も口をきいてもらえなかった。最初意味が理解できなくて、あとでわかったとき自分の無知が恥ずかしかった>
諏訪内さんは、日本が過去に近隣諸国に対して行ってきたことを、学校では詳しく教わらなかったという。そしてこう付け加えた。同じ寮のドイツ人は過去にドイツがなにをしたのかよく理解していた、と。
今後、日本が外国との友好関係を維持していくためにも、将来を担う子供たちには自国の歴史を正しく教えるべきではないか。
金大中大統領は、日本と未来志向の関係を築くため、国内の反発を抑え過去の問題の終結宣言をした。今回の騒ぎは、こうした韓国側の努力を無にするものだ。
歴史事実をわい曲した教科書が登場したり、侵略を正当化する妄言が続けば、これまで築いてきた韓日の信頼関係を損なうことにならないだろうか。日本政府の対応に注目していきたい。(T)