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2001/02/16

<鳳仙花>◆京義線復旧と韓日トンネル◆

 分断状態にある南北を結ぶ鉄道・京義線(ソウル―新義州)の復旧と並行道路の建設問題を話し合う第5回南北軍事実務協議がこのほど板門店で開かれ、非武装地帯(DMZ)での作業に関する規則案に完全合意した。これによって、本格的なDMZ内での工事に着手できる見通しとなった。

 京義線の復旧工事は、すでに昨年9月、韓国側の起工式を終えており、工事が順調に進めば今年9月に南北の断絶区間24㌔が連結され、分断以来56年ぶりに列車が運行されることになる。京義線の復旧は、南北統一に向けた象徴的な事業であるばかりでなく、韓半島の大動脈として経済効果も計り知れない。将来はシベリア鉄道と結ばれ、東アジアと欧州を結ぶ構想もあり、「夢の国際鉄道」にも期待がかかる。

 京義線の復旧は、対岸のできごとではなく、日本にとっても大きな意義を持つ。20年前に韓国と日本を海底トンネルで結ぶ「日韓トンネルプロジェクト」構想が持ち上がり、基礎調査を終えた86年に熊谷組と三井建設の共同企業体によってトンネル掘削のためのパイロットトンネル工事が佐賀県鎮西町で開始された。トンネルの予定ルートは鎮西町―壱岐―対馬―韓国・巨済島―釜山で、全長235㍍。ここに鉄道と高速道路を敷設する計画で、これが完成すれば、日本から京義線、シベリア鉄道を通って欧州に行くことも可能になる。

 日本のトンネル掘削技術は、世界のトップレベルにあり、英国とロンドンを結ぶドーバー海底トンネル工事でも実証済みだ。これまでの超音波探査などで韓日海底トンネルの工事は十分可能だという結論が出ているが、総工費10兆円、工期13年を要する国際プロジェクトだけに、ことは簡単ではない。しかし、実現すれば韓日間の人とモノの移動に革命が起きる。動き出した京義線の復旧工事に合わせて、韓日トンネル構想の進展に期待したい。(A)