「漢江の奇跡をつくったのは、世界一働いた労働者たちだ。ILO(国際労働機構)統計をみると、いまでも韓国の労働時間は世界一長い。これが廃墟の中から国を復興させ、先進経済に仲間入りできるところまで引き上げる原動力となった」
韓国の経済成長の秘訣にはいろいろなことが言われているが、多くの人がこの長時間労働を欠かせない要因としてあげている。だが、先進国クラブのOECD(経済協力開発機構)に加盟を果たし、半導体、造船、電子、自動車などの産業で韓国はビッグネームになっている。「もう途上国ではない。それにふさわしいように労働条件を改善しなければならない」と政府は判断、週休2日制の導入に踏み切った。
だが、この週休2日制の実施をめぐり大論争が起こっている。政府は2010年まで全事業所で実施するため勤労基準法を改正する作業をすすめているが、経済界と労働界はこれに対し一斉に反発している。
経済界は、週休2日制は時代の流れではあるが、実質労働時間が現在の週50時間から44時間以下に下げるにはまだ時間が必要だと延期論を展開している。いま週休2日制が実施されれば企業の人件費負担は19兆ウオンに達し、企業は国際競争に勝てないという指摘もある。これに対して労働界は、週休2日制は早期実施すべきで、実施に際しては賃金が下がったり労働条件が悪化してはならないと主張している。
国民の経済生活に大きな変化をもたらす重要案件だけに十分に論議を尽くすことは必要だろう。その際、だれのための週休2日制なのかという点も論議してほしい。
というのも、現在の案では大企業と中小・零細企業の労働者では大きな格差が生じるからだ。最終的に5人以上の零細企業は8年後でないと週休2日制の恩恵を受けられない。
企業の体力に差があるから当然だとみなされているが、長時間労働は中小・零細企業の労働者こそ最も長時間働いてきた。公平な社会にどうすれば近づけるのか、いつも念頭に入れておくべきものだろう。(S)