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2002/10/11

<鳳仙花>◆女性主体の富川フィル◆

 韓国、中国、タイ、フィリピン、オーストラリアの5カ国のオーケストラが競演する「アジア・オーケストラ・ウィーク」が先日、都内のホールで開かれた。日本になじみの薄いアジアのオーケストラを紹介し、アジアのクラシック音楽界発展に一役買おうという企画である。

 普段聞く機会の少ない楽団の演奏だが、どの楽団、そしてソリストもレベルが高いのに驚かされた。韓国から参加した富川フィルハーモニック管弦楽団も、幻想交響曲(ベルリオーズ)を演奏して満員の観客を大いにわかせてくれたが、ヴァイオリンやコントラバスなど弦楽器がほとんど女性なのには驚いた。聞けば女性団員が8割を占めるとのことだ。

 富川フィルは、88年に富川市(京畿道)が設立したプロのオーケストラである。ソウル大学教授でもある林憲政・音楽監督が、韓国各地から優秀な演奏家を集めてメンバーを編成し、土台を作り上げた。

 「音楽大学卒業の優秀な団員を集めたら、たまたま女性が多くなった」(林監督)という。その情熱あふれた演奏を聞くと、国内で「炎のオーケストラ」と呼ばれているのもうなづけるし、大きな将来性を感じさせてくれる。

 富川市は同オーケストラのほかに、富川国際ファンタスティック映画祭開催、富川漫画情報センターの設立など5大文化事業に力を入れているが、特にオーケストラについては、富川市民の宝として世界的な楽団にしたいと考え、資金援助を続けている。

 共演したヴァイオリニストの白ジュヨンさんは、「韓国はクラシック音楽の歴史は浅いが、もともと音楽好きな民族なので、楽団も観客の水準もさらに発展するはず。そのためにも音楽環境を整えてほしい」と話している。地方都市で生まれた女性主体の富川フィル。これからが楽しみだ。(L)