「アジアは一つ」をスローガンに4年に一度のアジアのスポーツの祭典、第14回釜山アジア大会が開幕し、連日熱戦が繰り広げられている。今回は、21世紀に入って初のアジア大会であり、今世紀のアジアがどのような方向に進むのかを暗示する重要なイベントになるに違いない。
9月29日の開会式は、韓国の民族色、パワー、エネルギーが全開した過去の大会に例をみない実にすばらしい演出だった。キッチンパフォーマンスで知られるナンタ(乱打)のリズムあふれる演奏、優美な民族舞踊、古代伽耶王朝の伝説を伝えるオペラ、勇壮なテコンドーの演武。熱い血がたぎり、これを見て今回のアジア大会は成功すると確信した。
過去最多の44カ国・地域の選手団が胸を張って入場、最後に韓国と北朝鮮の選手が統一旗を先頭に手をとりあって同時行進し、南北の和合をアピール。W杯韓国ベスト4の立役者・洪明甫、柳想鉄らからトーチを受け取った韓国の河亨柱と北朝鮮のケー・スンヒの五輪柔道金メダリストペアが聖火に点火するなど、心にくい演出に胸が熱くなった。戦乱からの復興をめざすアフガニスタンの女性旗手が民族衣装で行進する姿も感動的だった。
アジア大会は第2次世界大戦で疲弊したアジアの復興と平和のために、51年にインドのニューデリーで始まった。今回で14回目を迎えるが、各地でいまだ局地的紛争が絶えず、平和の理念実現には至っていない。キリスト教文明を礎に、統一的文化背景を持ち、民族もそれほど多くないヨーロッパと違い、アジアは言語、宗教、民族が入り乱れ、多種多様な文化が共存している。それだけに一つにまとまるのはむずかしい。
今回の開会式は、違いを乗り越え、アジアの融和を世界に示すことに成功した。人口37億のアジアが一つにまとまれば、地球は変わり、友好と平和の世界が開ける。そのきっかけとなる大会にしたい。(N)