今月14日から22日まで、長崎県対馬の峰町に韓国から考古学調査団が訪れ、同町の三根遺跡の合同発掘調査を行った。韓国の考古学研究者が日本の発掘調査に参加したのは初めてで、今後の古代史研究に一石を投じる画期的なことといえるだろう。
合同調査に参加したのは釜山にある東亜大学の沈奉謹教授、朴広春教授と学生ら20人。東亜大学は、98年から慶尚南道泗川の勒島遺跡の発掘調査を手がけているが、そこから紀元前1世紀ころとみられる青銅器時代の文様のない無紋土器などの遺物が見つかった。峰町も2年前に三根遺跡の山辺区から弥生時代の集落跡が発見され、勒島遺跡から出土したものと同じ無紋土器や新羅の仏像など韓半島とゆかりの深い遺物が多数見つかり、これが縁で今回の合同発掘調査が実現した。
今回の三根遺跡の合同調査と今後の分析で、韓半島と対馬の深い結びつきが明らかにされ、古代の韓日交流に新たな光が当てられるに違いない。出土品は対馬と韓半島の交易が活発に行われていたことを物語っており、渡来人がここに住んでいた可能性もある。
2000年11月に、東北旧石器文化研究所の藤村新一副理事長による古代遺跡ねつ造事件が起き、日本の考古学界のみならず社会に衝撃を与えたが、韓国でも「歴史をわい曲する日本の体質」との批判が相次ぎ、関心が高かった。ねつ造によって信頼を失った日本の考古学の軌道修正をするには、今回のような韓日の合同遺跡調査や共同研究が望ましいと思う。
温故知新ということばがあるが、古代史は現在を写す鏡となり、未来への指標ともなる。遺跡調査などで古代から韓半島と日本が密接な交流を続けてきたことが徐々に解明されてきているが、まだまだなぞも多い。日本には手付かずの古代遺跡が数多くあり、韓日が合同研究や発掘を行えば、埋もれた古代史のなぞが解けるはずだ。古代の壮大なロマンに思いを馳せると胸がときめく。(N)