サッカー・ワールドカップ(W杯)の熱気は去ったが、韓国文化は日本社会に静かに浸透しているかに見える。「韓国の名宝展」(東京国立博物館)、「韓国現代写真展」(埼玉県立近代美術館)、「韓国の色と光展」(26日より、愛知県美術館)など、韓国文化を紹介する催しがいま各地で開かれている。中でも東京・世田谷美術館で開催中の「韓国大衆文化展」(14日まで)が、ちょっとした話題を呼んでいる。
テレビ、映画、雑誌、ファッション、ポスターなど身近な生活文化を切り口にしているためか、若い人が多く訪れている。日本よりも派手な原色を使ったファッション、日本と似ているけれどもどこか違う雑誌やポスターが、「親しみやすい」と評判だ。
展示物の中でも一際目立つのが、雑多なものを集めて新しい魅力を作り出した韓国文化を象徴するために作られた、巨大ビビンバのオブジェである。直径3㍍の器の中に、雑誌、携帯電話、ポスター、テレビなどを入れたもので、同館を訪れた女優の藤原紀香さんも気に入り、このビビンバの前で記念写真を撮っていた。
大衆文化といっても概念は幅広い。韓国の作家、韓水山氏は「大衆文化は人々の涙であり、歌であり、喜びであり、愛であり、特に歌こそが大衆文化である」と言っている。最近日本で韓国映画に続き韓国ポップスが、若者たちの間で人気を呼んでおり、今後どれだけ広まるか楽しみである。
韓国ポップスはすでに、中国や東南アジアではかなりの人気である。韓国が映画、ポップス、ファッションなど大衆文化を輸出するまでになったのは興味深い現象だ。韓国大衆文化が今後どんな変貌を遂げ、それが周辺国の文化にどんな影響を与えるか、注目してみたい。(L)