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2002/05/10

<鳳仙花>◆隣国は「学びの師」◆

 日本はいま、かつてない韓国ブームといっていいだろう。W杯と「国民交流年」効果で毎日のように韓国関連のイベントや文化交流が行われ、雑誌でも韓国特集が目白押しだ。それはそれで、大変結構なことだと思うが、打ち上げ花火のように一過性ですぐしぼんでしまうのではないかと心配になる。

 かつてソウル五輪のときにも、韓国ブームが起き、日本の国際化推進とあいまって、自治体がこぞって韓国と姉妹提携した。しかし、定期交流を続けているところは少なく、有名無実化している。国際交流というのは、持続することが大事だが、なかなかこれがむずかしい。

 東京・練馬区に住む主婦、山崎祐子さんは、95年に近所の主婦仲間に声をかけて、「ご近所留学の会」をつくった。子どもが通う小学校に韓国から転校生がやってきたのがきっかけだった。慣れない日本での生活を手助けしようと、転校生の家庭と交流を始め、互いの文化の違いに惹かれて、韓国語の自主学習会を開くようになった。

 そこで転校生の母親から韓国料理や韓国の歴史、習慣などを習い、「隣人は助ける対象だけでなく、学ぶための師となる」ことを悟ったという。山崎さんの考えに賛同した主婦らが「ご近所留学の会」に続々と集まり、韓国という異文化体験を通じて、日本社会の閉鎖性や矛盾を考えるなど、自己啓発の輪が広がっていった。

 こうした草の根の活動は、テレビや新聞で取り上げられることもなく、華々しさはない。しかし、こういった地道な交流こそが、これからの韓日関係を良くしていくのだと思う。

 韓日交流は、互いに学びあい、深く理解することが必要だろう。W杯開催や国民交流年をそのきっかけにしてほしい。(N)