韓国南部の釜山と日本の九州北部を結ぶ「韓日海底トンネル」構想が、いよいよ政府レベルで本格的に検討されることになった。民間団体を中心にすでに20年ほど前から研究が続けられてきたが、今後具体化すれば、21世紀の韓日交流を象徴する”夢のプロジェクト”として、脚光を浴びることになるだろう。
釜山から対馬を経由し九州北部に連結する韓日トンネルは全長約200㌔もあり、英国とフランスを結ぶ英仏トンネルや本州と北海道を結ぶ青函トンネルなどの4倍に達する世界最長の海底トンネルだ。大変な難工事になるのは必至だが、成功すれば世界の建設史に大きな足跡を残す。
また韓日が事実上の陸続きになるため、東京・ソウル間はもとより、現在復旧工事が進められている韓国と北朝鮮を結ぶ京義線がつながれば中国やロシア、欧州までつながる世界最長の鉄路が完成する。
今回の検討作業は韓国建設交通部が、国内のシンクタンクに建設の妥当性を判断するための調査を依頼するかたちでスタートする。韓日両国の国民感情、技術的問題、工事費の負担などクリアすべき課題は多いが、今回は本気のようだ。
さて実現性のいかんだが、これまでにも両国の間からは、トンネルの必要性について肯定的な発言が繰り返し聞こえてきた。しかし今回は初めて韓国政府が予算をつけて調査に乗り出し、日本政府とも協議するというのだから可能性はあるとみていいだろう。何よりも政府が動きだした意味は大きい。
韓日両国は今、W杯という「壮大な実験」に取り組んでいる。このビッグイベントは、今後いろいろな分野で両国の共同作業の道を開くものだが、韓日海底トンネルは、この共同作業にさらに画期的な広がりを持たせるだろう。(J)