スピードスケート・ショートトラックの金東聖選手(22)が、カナダ・モントリオールのモーリス・リシャール・アリーナで開かれた2002世界選手権で、75年の同大会創設以来、男子史上初の全種目制覇という偉業を成し遂げた。
2月のソルトレークシティ冬季五輪、あの悪夢の失格判定から2カ月も経っていない中での完全優勝は、金の実力、そして精神力の強さを証明したといえる。
五輪の1500㍍決勝、1位で入賞しながら米国のアポロ・アントンオーノ選手のアピールで失格となり、太極旗の前で呆然とする金の姿はいまも記憶に新しい。
「4年間の努力が無になった」(金)。五輪でメダルゼロに終わった後、引退も考えた金だが、韓国民の熱い声援に再び闘志を燃やし、1日10時間というハードトレーニングを積んで、今回の世界選手権に備えた。
「五輪の無念を晴らすために、この2カ月必死に練習を重ねた。4年後のイタリア・トリノ五輪では必ず金メダルを取る」と、試合後に語る金の笑顔がとても印象的だった。
朝鮮日報は社説で、「ソルトレーク五輪では米国アポロ選手のハリウッドアクションに金メダルを奪われたが、勝負の世界はトリックではなく実力だということを立証した。若い世代に勇気と誇りを与える出来事だ」と評したが、まさにその通りだと思う。
今回の大会には、そのアポロ選手や中国の李佳軍選手は出場していないが、全種目制覇の価値に変わりはない。次回トリノ五輪では堂々とアポロ選手や李選手を破り、長野に続くメダルを取ってほしいものだ。審判団も研鑚を重ね、二度と疑惑の判定が出ないようにしてもらいたい。(L)