南北の軍事境界線である38度線付近を流れる川、臨津江(イムジンガン)は、韓国戦争の混乱のさ中、多くの避難民が渡った川である。
「臨津江 水清く とうとうと流る 水鳥 自由に飛び交うよ」と、北から南へ飛ぶ水鳥に託して南北分断の悲しみを歌った歌「イムジン河」の調べとともに、日本でもよく知られている。
昨年末の紅白歌合戦では、韓国出身の人気歌手・金蓮子が、この歌をうたって話題となった。
その臨津江を旧正月の12日、韓国の離散家族ら700人を乗せた列車が、約半世紀ぶりに通過した。
ソウルと北朝鮮の国境の町、新義州を結ぶ京義線鉄道のの韓国側路線の最北端駅となる都羅山駅までの工事が完成し、旧正月を記念して特別に運転されたのである。
同駅は臨津江を越えてすぐ、軍事境界線までわずか2㌔の距離にあり、民間人統制区域の駅であったため、これまで足を踏み入れることは認められてこなかった。
都羅山の駅前で先祖を供養し、北に残した家族への思いを切々と語る離散家族の姿が日本のテレビにも映し出されていたが、改めて南北分断の悲劇に思いをはせざるを得なかった。
韓国では5月末からサッカーのワールドカップ(W杯)韓日共催大会、北朝鮮では4月末からマスゲーム観覧を目玉にした「アリラン祝典」が行われる。
韓国内では、「この時期に南北両国民が相互往来できるようにしてほしい」「W杯を見に来る中国人観光客が、北朝鮮を経由して韓国に来れる様にしては」などの意見も出ている。南北関係の改善をみなが待ち望んでいる。(L)