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2003/05/16

<鳳仙花>◆38度線に響く反戦歌◆

 戦争の危機が高まるとき、平和を求める人たちは反戦歌、愛の歌をうたってそれに抵抗した。ベトナム戦争に対する反戦歌として、世界中でうたわれた『花はどこへ行った』は余りにも有名だし、最近ではイラク戦争に反対する米国や英国の市民が、ジョン・レノンの『イマジン』を歌って反戦メッセージを世界に届けている。

 アジアで愛と平和のメッセージをうたう歌手に、沖縄出身の喜納昌吉さんがいる。『すべての人の心に花を』は、アジア各国に伝えられている。

 喜納さんの心底にあるのは、第2次大戦で大きな被害を受け、戦後も米国占領地として紛争時の出撃基地になった沖縄の歴史への悲痛な思いだろう。

 「日本は朝鮮戦争で隣国の人々が死んでいるとき、その戦争特需で復興した。沖縄からは爆撃に行く飛行機が飛び立った。そのような歴史を繰り返してはいけない。沖縄はもともと、平和を愛した人々の地。戦争でない平和の文化を沖縄から世界へ送り出したい」

 イラク戦争直前、イラクを訪れて平和コンサートを行った喜納さんは、次は韓半島で戦争が始まるのではないかとの危機感を持っており、「38度線で祭りを開きアリランを大合唱したい。平和への仲立ちを沖縄がしたい」との希望を強く持っている。

 「板門店を平和の扉にするために、日本人も在日コリアンも力を合わせて活動しよう」とも述べているが、在日の一人として、本当に共鳴できる意見だ。

 喜納さんとその仲間は、ゴールデンウィークに都内で平和集会を開催した。会場に集まった日本や在日の若者など300人は、戦争反対の気持ちを込めて、『すべての人の心に花を』を大合唱した。その歌声が38度線に届くことを願わずにはいられない。(L)