ソウルの劇場で5月の韓国映画シェアが初めて50%を超えた。「殺人の追憶」という大ヒット映画の存在が大きいとはいえ、ハリウッド映画に圧倒されて国内映画のシェア20-30%という世界各国の現状からいうと、驚くべき数字である。
この間の韓国映画人気を象徴する出来事といえると思うが、その韓国映画界の成長持続に貢献した大きな要因として、韓国映画アカデミー創設による人材輩出、政府による映画製作費支援、そして劇場での韓国映画の上映割り当てを義務づけたスクリーンクォーター制があげられる。
このスクリーンクォーター制については、米国の開放圧力を受けるたびに政府が縮小を検討、映画人が抗議してきたが、最近も同じ論議が繰り返され、監督や俳優など映画人が抗議の集会・デモを行った。有名映画俳優が剃髪して抗議をする写真を見て驚いた人も多いと思う。
韓国映画界の大御所、林権澤監督も「自国文化を保護する大切さを政府も国民も認識してほしい。台湾やインドネシアのように自国映画産業が衰退してからでは遅いのだから」と、制度縮小に強い抗議の意を示している。
映画産業に携わる知人によると、同制度については市民や政府内でも賛否両論あり、「自由競争にすべき」との意見も根強いが、映画監督でもある李滄東文化観光部長官は、同制度保護に前向きとのことである。
在日の映画ファンには、『酔画仙』『春香伝』など民族的題材をテーマにした映画を愛する人も多い。これら興行成績と直結しにくい映画にとって、クオータ制度によって公開を保証される意義は大きい。同制度の維持を求めたいがどうだろう。(L)