ここから本文です

2003/08/15

<鳳仙花>◆戦後58年-勇気ある一歩を◆

 戦後58年を迎えたが、在日同胞には未解決の問題がいまだ多く残されている。民族学校問題もその一つだろう。

 祖国解放後、奪われた言葉や文化を在日の子どもたちに伝えようと、日本各地に「国語講習所」を開いたのが、朝鮮学校の始まりである。その後、阪神教育事件など弾圧事件を経験しながら運営を続けてきた。最近では思想教育の弊害などについて在日社会からの指摘を受け、授業内容も変更を重ねている。

 文部科学省は先頃、この朝鮮学校の卒業生が大学入学資格検定(大検)を受けなくても国立大学を受験できる道を開いた。しかし、この決定にも不公平な条件が付けられている。

 学校単位で受験を認められるのは英米の国際評価機関の認定を受けているか、大使館などを通じて本国の学校並みの学力があると確認できた場合に限り、これ以外の学校の受験希望者は、各大学の自主的判断にまかせるという。

 つまり欧米系のインターナショナルスクールや交流のある台湾系の中華学校は受験資格を認めるが、朝鮮学校については大学側に判断をまかせたのである。

 文科省は当初、アジア系の外国人学校には国立大学受験資格を認めない方針だったが、学校関係者、マスコミ、市民運動などの強い批判を受けて、決定を引き延ばした経緯がある。

 在日社会には、ほかにも国籍選択権、戦後補償、社会保障、公務就任権などの課題が残されている。かつて自民党の野中広務氏は、「20世紀の問題は20世紀中に解決すべきだ」と話した、戦後処理に意欲を示したが、残念ながら解決はされなかった。

 日本が品格ある国として国際的に評価を受けるうえでも、在日の未解決の課題を根本的に解決すべきではないか。その勇気ある一歩を踏み出してほしい。(L)