東京都が東京朝鮮第二初級学校(東京都江東区枝川)に都の所有地の明け渡しを求めて近く提訴するという。同校の敷地は約5400平方㍍で、このうち約4100平方㍍が都から借り受けて使用していた土地だが、なぜいま急に返還を求めて提訴するのだろうか。
この土地は70年から90年まで都が無償で朝鮮学校側に貸与してきた。契約期間が切れたあとも、都は「学校用地として継続使用したい場合は善処する」として、継続無償貸与を続けてきたという。それが今年に入り、元都議らが突然、住民監査を請求、都は学校が都所有地を不法に占有しているとして土地の返還を要求しだした。都は13億円で買うか賃貸料として年間7000万円を払うよう要求しているそうだが、同校の年間予算は4000万円で、到底応じられないという。
朝鮮学校は各種学校扱いのため都の補助金も一人当たり年間1万5000円で、一般の私学の約34万5000円と比べ極端に少ない。このため財政難で学校の運営も父兄らの寄付でまかなっている。
拉致問題と核開発疑惑によって日本社会に反北朝鮮ムードが高まっているが、今回の朝鮮学校の問題はこれに便乗したものなのではないか。土地を取り上げられたら、子どもたちはどこで勉強するのか。
朝鮮学校は、民族教育のメッカで、教育内容で、煙たがられる向きもあった。しかし、最近は、金日成・金正日親子の肖像を教室からはずすなど、日本社会との共生をめざす方向に転換しつつある。将来の朝日国交正常化をにらんで、朝鮮学校で学ぶ子どもたちの果たす役割は大きい。その子どもたちから学び舎を奪ってはならないと思う。都には寛大な措置を望みたい。(G)