韓国が世界に誇る食品、キムチの輸入が急増している。今年に入り8月までに輸入量は1万2000㌧を超えた。金額にして500万㌦相当だが、すでに昨年の年間実績1000㌧を10倍以上も上回っているのだから、ちょっとした「異変」である。
1990年代までキムチの輸入はごくわずかだった。2000年代に入って増え始めたが、それでも年間3、400㌧台に過ぎなかった。それが今年は一気に1万㌧を超すと予想されている。これは昨年のキムチ輸出量2万2000㌧を上回るもので、韓国はこのままではキムチ貿易で赤字に転落してしまう。
原因は中国業者の攻勢にある。輸入キムチのほとんどは中国産であり、韓国産の半値以下であるため、営業用を中心に急速に広まっているという。特に今年は台風被害により原料価格が上昇し、キムチ価格への転嫁が避けられず、中国産キムチが今後さらに増えるのは確実だ。
キムチ関係者は、「価格差が狭まらない限り中国産キムチの輸入はさらに増えるだろう」と指摘、「原産地を虚偽表示するなどの不法流通を徹底して取り締まってほしい」と訴えている。
数年前、中国産にんにくの輸入急増で韓国の生産農家が大打撃を受け、輸入規制に打って出た。これに対抗して中国は韓国製携帯電話の輸入禁止措置をとった「にんにく戦争」が記憶に新しい。結局、双方は強硬措置を取り下げたが、今回は「キムチ戦争」に発展しないように事前の対応が必要だろう。
韓中貿易は年間500億㌦に達し、特に今年の対中輸出は毎月40%増の高い伸びを示している。貿易が急増すればトラブルはつきものだが、双方が知恵を絞り賢明に対処することを望みたい。(S)