「癒し」という言葉がブームになって久しい。旅行、ペット、会食などは、私たちにどれだけ癒しを与えてくれるのだろうか。癒しという見出しを見ると、思わず読んでしまうという知人もいる。家庭用ロボットも癒しの対象として購入する人が多いそうだ。
それだけ心の不安が深刻な時代なのだろうが、本来、もっとも癒しを与えてくれるのは家族のはずである。
韓国、日本を中心に国際比較調査を長年行っている鈎(まがり)治雄・創価大学教授が、韓国・日本・英国の3カ国の20代~60代の男女(日本655人、韓国300人、英国400人)を対象に、家族意識について昨年後半アンケートを行った。
「夫や妻、交際相手と一緒にいるとき癒される」という問いに対して、「とてもそう思う」が韓国56%、日本47%に対し英国85%に達した。「子どもの笑顔や寝顔に接するとき癒される」は、「大変そう思う」が韓国66%、日本75%、英国が64・6%。また「自然に癒される」のは、日本の79%に対し、英国52%、韓国50%と違いが際立っている。
西欧人に比べて、韓国人や日本人は家族、とくにパートナーとの会話が少ないと言われる。また自然に癒しを求めるのは、人間関係を作るのがそれだけ希薄なのかも知れない。
情が厚いとよく言われる韓国だが、やはり人間関係の希薄化、インターネットゲームに夢中になる子どもたちとの会話不足、ペットブームが起きていると最近、韓国の知人から聞いた。
ともかく、「癒し」の対象が違うのは、その国の文化、社会風土の違いによるものなのだろう。ここにも外国理解のカギがあると思った。(L)