盧武鉉大統領と小泉純一郎首相は、今月下旬にタイで開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)で、韓日間のFTA(自由貿易協定)締結に向けた政府間交渉開始を宣言する見込みだ。開始時期は年内か来年初といわれている。これが実現すれば、韓日のみならず、東アジアの地域発展にとって歴史的な意義があると思う。
中国は、韓・日・中3カ国のFTA締結に意欲をもっており、インドネシアのバリ島で7日開かれる3カ国首脳会談ではそのような3カ国協定締結への努力も話し合われそうだ。すでに中国とASEANはFTAに向け動いており、アジア地域がFTAの大きな渦の中にあるといっても過言でない状況だ。
FTAはいうまでもなく、締結国相互に貿易障壁である関税を全廃し、他国が入り込みにくい制度や慣行などを改め、貿易を促進しようというものだ。当然、同じ土俵で競争すれば、力の弱い部門は淘汰の憂き目にあう。その弱い部分に対する調整が大きな課題であることも事実だ。
しかし、ここにはビジョンが必要だろう。先日、この問題について友人は、「EU(欧州連合)は人々が国境を越えて自由に移動している。共通通貨ユーロがあるのでいろんな国で買物ができる。これに比べたらFTAはほんの入り口にすぎないのではないか」とシリアスな見方をした。
先日NHKの「富の攻防」という番組をみていたら、パソコンや携帯電話などの一流メーカーの工場を買い取った製造請負業が世界を股にかけて商売している姿が映し出されていた。なるほど、それほど世界は大きく動いているのだ。アジアに共通市場が必要なのはもう明らかだ。その速度を速めるためにも産業構造が最も似ている韓日が先頭を切るべきだと思う。(S)