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2003/09/26

<鳳仙花>◆サムスンとソニーの提携◆

 サムスン電子とソニーが、薄型テレビ画面に使う液晶パネルで事業提携することが明らかになり、産業界の注目を集めている。世界のテレビ市場をリードするソニー、液晶パネル市場で世界トップのサムスン、その両者が手を組み、次世代テレビで世界市場の覇権を狙う。

 さて、この両企業ともトップのリーダーシップが常に注目されている。

 サムスンの李健熙会長は、常に先を見据えた「準備経営」、「新経営」を唱えてきた。

 新製品開発のための投資、企業変革を惜しまず、40型液晶テレビなど魅力的な製品を市場に提供し続けている。

 世界経済の変化にも敏感で、次なる戦略を常に考え続ける人だ。88年の半導体不況、97年のIMF危機でも指導力を発揮し、大胆な構造調整を断行して乗り切ってきた。

 一方、ソニーの出井伸之・会長兼CEOは、「ソニースピリットであるチャレンジ精神
を大切に、人がやらない新しいものを生み出そう」「あらゆるレベルで変革を行おう」と社員に訴え続けている。

 「外と接触することで、思ってもみなかったヒントを得られることもある。異なった言語や文化を持つ人々、異なった業界の考え方と接触することの重要性は言をまたない」と、常に外の空気に触れるトップ経営者でもある。

 リーダーが意識・能力を高めないと組織も強くならないといわれるが、この両者とも、「過去の成功体験にとらわれるな、変革を恐れるな」という精神を実践して、業界をリードしてきた。両者の提携も、このようなリーダーシップと無縁ではないだろう。

 この提携が今後、産業競争にどんな波紋を広げるのか注目したい。(L)