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2003/06/13

<鳳仙花>◆未来をつくる文化開放◆

 盧武鉉・韓国大統領が超過密日程の訪日を精力的にこなし、9日に無事帰国した。韓国内では今回の訪日成果に賛否両論あるようだが、北朝鮮の核をめぐる情勢が緊迫化を増す中、日本の政府と国民に韓国の考えをしっかり伝えた点で、まずは成功したと高く評価したい。

 もう一つ在日同胞と日本国民に良い印象を与えたのが、大統領の笑顔と率直な語り口だろう。8日に行われた大統領と在日同胞の懇談会では、大統領の話が進むにつれ、会場が静まり、みな話に聞き入っていた。

 また民放テレビが放映した大統領と日本市民との対話番組でも、時間が経つほど参加者が大統領に好感を寄せていくのが印象的だった。

 「弁舌巧み」「腰の低い人柄」「信念を曲げない人」との大統領の評判は以前から聞いていたが、間近に見てなるほどと納得させられた。

 その大統領に望みたいのが日本大衆文化の全面開放だ。金大中・前大統領の英断で始まった開放だが、2年前の小泉首相の靖国神社参拝問題で、日本歌謡のCD発売、アニメーションなどの追加開放が遅れている。当時、音楽産業関係者から、「うまく開放が進んできたのに残念だ」と嘆く声を聞かされたものだった。

 国内の文化産業関係者には経済的悪影響を危惧する声もあるようだが、交流が深まってこそ相手を理解し、未来志向の関係を作ることができる。また中長期的には経済的にも相互発展することは、この間の映画産業の成功で実証されている。

 本紙創刊58年で文章を寄せてくれた女優の黒田福美さんは、「文化の力は政治・経済を超える」と強調していた。大統領の決断を望みたい。(L)