日本のエリザベート音楽大学大学院音楽研究科に留学中の朴銀荷(33、パク・ウンハ)さんが、半年かけて作曲した「エミレの鐘」が、毎日音楽コンクールの2002年度作曲部門で見事優勝した。
同コンクールで初の外国人受賞ということであり、韓国女性作曲家の実力を証明した快挙といえるだろう。
エミレの鐘とは、新羅時代の韓国でお寺の鐘を完成させるために、父親が子どもを神のいけにえにしたという伝説に由来している。
完成後、鐘の音が「エミレ(お母さん)=方言」と泣き叫ぶ声に聞こえたことから、エミレの鐘と呼ばれるようになった。慶州にはいまもその鐘が保存され、観光名所となっている。
今月上旬に都内で開かれた同コンクールの各受賞楽曲の発表会で、子どもの命よりも鐘の完成を優先させた父親の心中をチェロを使って表現した演奏が、聴衆の琴線を揺さぶった。
朴さんによると、韓国では女性作曲家の活動が盛んで、女性作曲家の集まりである韓国女性作曲家連盟(李燦解会長)には200人近い会員がいる。
各国の女性作曲家連盟の集まりである世界女性作曲家連盟の中でも、韓国は会員数、活動量とも上位に入るそうだ。ここでも韓国の女性パワーは健在だ。
同会は年に2回の定期演奏会のほか、他の団体との合同演奏会、シンポジウムの開催などの活動を行っている。
4月8日からソウルでは、世界23カ国300人の女性作曲家を招いて「世界女性音楽祭」を開催するというから楽しみだ。
「悩みは作曲をしても演奏の機会が少ないことと、金銭的に恵まれないこと」と話す朴さん。韓国女性作曲家の活動にも注目し、支援していきたいものである。(L)