「政治に参加できないことは、自分の運命を他人の手にゆだねることを意味する。この運命を甘受するとき、その人間は『二級市民』に堕する。在日コリアンが自立した市民であるために、政治に参加する権利(国政と地方の選挙権および被選挙権)の獲得が不可欠である」
先日、在日コリアン弁護士協会が主催した「在日コリアンの政治参加を求めて」と題したフォーラムでの、在日の高英毅弁護士の発言だ。
在日社会では、以前は日本の政治に参加することへの疑問が呈されたこともあるが、40、50代中心の在日ら250人が参加したこのフォーラムでは、日本の政治に参加することは前提とされ、その上で、その権利をどこまで、どうやって獲得するかの議論が主流となっていた。
「韓国籍で地方参政権の取得を」「日本国籍取得による政治参加が現実的。そのためには、帰化でなく届け出による国籍取得への法改正が必要だ」「日本の国籍法を二重国籍容認や生地主義に変える方法はないのか」等々、在日の政治参加について、様々な意見が表明された。
「フォーラムの主催者は弁護士だが、在日が検事や裁判官になってもいいはずだ」「国会議員や、市長、大臣にもなってみたい」との20代の青年の声も聞かれたが、時代の変化を感じさせるものだ。
戦後、在日コリアンは日本の政治参加どころか、社会保障等の権利からも排除されてきた。それが70年代の生活権獲得運動、80年代の指紋押捺拒否運動に続き、90年代に入って政治参加を求める運動が地方参政権レベルで起きた。
95年には最高裁が、「永住外国人への地方参政権付与は憲法上禁止されていない」との画期的見解を示している。
来年は韓日条約から40年にあたる。韓日両国は来年を「韓日友情年」と定め、数多くの記念行事を予定しているが、在日コリアンの政治参加についての道筋も開いてほしいものだ。(L)