今年の野球界の話題は、何といってもシーズン262本のヒットを飛ばし、84年ぶりに大リーグの安打記録を塗り替えたマリナーズのイチロー選手に尽きるだろう。韓国でも大手紙がこぞって「たゆまぬ努力の成果」と絶賛し、イチローのエネルギーの源は、彼が足繁く通っているシアトルの韓国料理店にあるといったこぼれ話も紹介している。日本に渡ったアジアの大砲・李スンヨプらの不振を嘆き、「イチローを見習え」という論調も目立った。
大リーグの熱気に比して、こちら韓国も日本も、プロ野球は元気がない。日本は近鉄球団の合併に端を発した球界再編で揺れており、韓国も李スンヨプらスター選手の不在や選手の兵役逃れ発覚で人気が急落している。
韓国プロ野球は公式戦の全日程を終え、13日からプレーオフに入ったが、近年にない低迷の年となった。朝鮮日報によると、公式戦の入場者数は約232万人で、ソウル五輪の88年以降で最低となり、1試合平均5000人から2000人に激減したという。
こういった低迷を打開し、プロ野球人気を復活させるには、国民がわくわくするような新しい試みが必要だろう。そこで、韓日のプロ球界が音頭をとり、アジアリーグを創設してはどうか。台湾、中国、オーストラリアを加えて試合をすれば、国民の関心を呼び、アジアの野球の発展だけでなく、観光交流にも役立つはずだ。ゆくゆくは大リーグと世界一を争うワールドシリーズに発展させていけば夢はさらに広がる。
アジアリーグがすぐに無理なら、まず韓日で始めればよい。10年ほど前、東京新聞などが主催し、韓日親善プロ野球スーパーゲームというのが行われたことがあったが、オフシーズンということもあって、数回で途絶えてしまった。日韓プロ野球対決が見たいというファンも多いだろう。これだけ両国で「国民的スポーツ」となっている野球の交流がないというのは残念でならない。ぜひ、実現してほしい。(G)