「キャッツ」「オペラ座の怪人」などで超ロングランヒットを記録し、日本にミュージカルブームを巻き起こした劇団四季(浅利慶太代表)の韓国進出が白紙になった。劇団四季は、ソウルの蚕室にミュージカル専用劇場(1200席)を建設することを決め、韓国で公演する計画を進めてきたが、韓国公演プロデューサー協会が「市場侵略だ」と反対声明を出したため、やむなく断念したという。
記者会見した浅井代表は、「韓国文化の発展と両国の関係改善のため、劇場を建設しようとしたが、反日ムードが広がるならば、事業を放棄するしかない」と述べ、韓国への不信感を露わにした。日本に韓流ブームが定着し、韓日関係がさらに成熟を増そうとしているときだけに残念でならない。
劇団四季は全国に7つの専用劇場を持ち、俳優・スタッフの数約700人。年間ステージ約2800回をこなし、日本で絶大な人気を誇る。韓国のファンも多く、ホームページにはハングルのサイトもある。
浅利代表は、「ミュージカル文化をアジアで共有したい」という夢を持ち、精力的に韓国との交流を推進してきた。劇団員には俳優とスタッフ合わせて21人の韓国人がおり、広報に韓国専門の担当者を置いているほどだ。韓国から研修生も受け入れており、こういった劇団四季の活動は、韓国のミュージカルの発展に大きく寄与するものだ。
ブロードウェイ並みの大型ミュージカルが上陸すれば、自国の文化が大きな打撃を受けるという韓国側の危惧はわからないでもないが、もう少し視野を広げてほしいと思う。これは、自己の利益を最優先する関係団体の反応である。韓国はすでに日本の大衆文化を受け入れており、若者たちに日本のミュージカルを拒否する考えはない。劇団四季は、タイミングを見て再度韓国進出に挑戦してほしい。