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2004/09/03

<鳳仙花>◆関東大震災の朝鮮人虐殺◆

 千葉県八千代市の高津山観音寺には、関東大震災時に殺された朝鮮人を追悼して、境内に「関東大震災慰霊塔」と「韓国式鐘楼」が建てられている。毎年9月1日を前後して韓国から追慕団が訪れ、慰霊祭が行われている。

 数年前に取材に訪れたことがあるが、70人ほどの参加者が、名前も家族も不明のまま死んでいった犠牲者を悼んで祈りをあげる姿は、感動的なものであった。だが、残念ながら日本人の出席者は少なかった。そもそも朝鮮人虐殺があったことや、この寺で慰霊祭が開かれていることさえ、地元ではほとんど知られていないという。

 1923年9月1日に起こった関東大震災は、死者・行方不明者14万人を出す大惨事だった。のみならず震災直後から、「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」などのデマが飛び交い、自警団などにより7000人の朝鮮人が虐殺されたといわれる。

 この八千代市付近でも、習志野騎兵連隊が朝鮮人を捕まえ、村人に命じて殺させるという事件が起きた。観音寺から歩いて5分の所にも朝鮮人6人が殺された場所があり、そこには供養碑が建てられている。

 だが、朝鮮人虐殺の実態はほとんど解明されていない。日本の皇族の三笠宮崇仁殿下は今年4月、ラジオ番組で関東大震災時の朝鮮人虐殺に言及、「日本と隣国の民族感情」にも関する問題として、歴史的見直しが必要と発言された。

 また日本弁護士連合会は昨年、日本政府が真相調査と責任を認めて謝罪することを求める勧告書を小泉首相に提出している。だが、真相解明しようとする取り組みは見られない。

 いまなお、この問題が持ち出されるのは、未解決のまま民族感情に刺さった歴史のトゲだからである。来年は韓日友情年だが、いまこそ真相を明らかにして”トゲ”を抜く行動が必要ではないか。(L)