東アジア経済共同体を作ろうとの機運が韓・日・中3カ国の間にあり、経済的にも人的にも結びつきは深まっている。だが、その一方で歴史認識のトラブルが再び頭をもたげている。
先日もサッカー・アジア杯決勝の日本対中国戦で、日本チームに激しいブーイングが浴びせられた。この激しいブーイングの原因の一つに、小泉首相の靖国神社参拝が指摘されており、「靖国参拝こそまさに、戦争犠牲者に対するブーイングそのものだ」という声まで聞かれた。中国侵略当時のおぞましい重慶爆撃などの歴史を、中国の若者はたちは繰り返し学んできており、いつでも火を吹く可能性があったのだ。
歴史認識といえば、韓日間の問題が想起されるが、韓中間で最近、古代国家・高句麗をめぐる歴史紛争が起きている。中国は歴史見直し研究をこの間進めてきた。その中で高句麗を中国の地方政権として捉え直そうとしている。そして、中国外交部のホームページは、こともあろうに韓半島の歴史から高句麗を削除したため、韓国側が猛反発して外交問題化している。
欧州を見ると第2次大戦の加害国ドイツは、近隣諸国の意見を採り入れながら歴史教科書作りに取り組んできた。ドイツとポーランドでは、高校生による歴史共同授業が長年行われている。またベルリンの壁崩壊後、12カ国の歴史家の共同執筆で書かれた共通教科書『欧州の歴史』が92年に出版され、教育現場で採用もされている。
これらの動きに刺激を受け、韓・中・日本の学者有志が90年代半ばから東アジア共通の歴史教科書研究に着手した。また韓日歴史共同研究が両国の学者有志で行われ、両国政府間にも歴史研究会が作られたことはあるが、教育現場には反映される状況に至っていない。
ドイツはナチスという暗い過去を精算し、半世紀をかけて周辺諸国との関係回復に務めてきた。韓・日・中も早急に共同歴史教科書を作って、歴史トラブルのない新しい関係を築いてほしい。(L)