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2004/05/28

<鳳仙花>◆対日赤字急拡大の警鐘◆

 逆調(ヨッチョ)―。韓国で対日貿易赤字のことをこう表現する。国交正常化以来、日本との貿易で毎年必ず韓国側が赤字を計上しているのは問題であるとの視点からこのような言い方が定着した。ここしばらく鳴りを潜めていたこの逆調問題が再び再燃しそうな状況だ。

 というのも今年の対日貿易赤字は過去最高の250億㌦に達する勢いだからだ。あまりもの急拡大に韓国経済界から警戒の声があがっている。

 本紙連載中の「考FTA」で駐日韓国企業トップらも、「是正する必要がある。トータルでバランスがとれないと両国間の信頼関係が損なわれる可能性がる」と心配している。だが、このような現実に対して適切な対応が取られているはいえない。

 現在、対日赤字が急拡大しているのは、韓国の輸出が好調で、輸出用の部品や素材、さらには製造機械を日本から大量に輸入しているからだ。例えば、韓国が世界トップをいくメモリー半導体。その半導体製造技術の多くは日本製だ。また、韓国製が世界を席巻している液晶や携帯電話も、その中身は日本製部品が大量に使われている。

 日本製を使うのが悪いのではない。過剰依存しすぎある。韓国で90年代初め、対日赤字是正のため機械・部品・素材の国産化5カ年計画を実施したことがある。だが、開発した技術はは商品化されず死蔵されたケースが少なくなかった。企業体にある日本製信仰意識も原因だと指摘された。これからの厳しいグローバル時代に生き残る道は品質と技術力であり、産業界は現状を見つめ直す必要がありそうだ。

 一方で日本側の努力も求められる。対日赤字拡大は「産業構造上の問題だ」と突き放し、我関せずの姿勢をとるのはあまりに冷たく映る。韓国側から要請のある非関税障壁を撤廃するなど思い切った市場開放策をとれば東アジア経済圏形成にも大きく資するはずだ。韓国と日本はもう有機体のようなものであり、相互に協力、是正することがお互いの利益に結びつく時代だと思う。(S)