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2004/04/30

<鳳仙花>◆北朝鮮爆発事故に人道支援を◆

 北朝鮮の朝中国境近くの龍川(リョンチョン)駅で起こった列車爆発事故は、想像を絶する大惨事であることが次第に明らかになってきた。

 日本のあるテレビニュースは、新宿駅から都庁を含む副都心が一瞬にして廃墟になったほどの大爆発と報じた。被害半径は2キロに及び、直径50㍍、30㍍の穴のあいた巨大なクレーターは、そのすさまじさをみせつけた。なんともやるせないのは、近くに小学校があったため、多くの子供が犠牲になったことだ。死者の半数が子供だという。爆発の熱風を顔面に受けひどいやけどを負った重傷者も多い。負傷者は9000人を超えるともいわれ、医療品ひとつでも必要であり、何とかしなければならないという思いを禁じ得ない。

 朝鮮中央通信は24日、「死者150人以上、負傷者1300人以上」と初めて被害状況を具体的に報じた。また国際社会の支援の動きも知らせている。情報鎖国と言われる北朝鮮としては異例の報道の仕方だ。それだけ事故の規模が大きく、国際社会からの支援が必要だということでもある。

 韓国政府はいち早く120万㌦の支援を決め、対北強硬派といわれるハンナラ党も募金運動展開を決めた。韓国のメディアは中国特派員を爆発現場に急派するなど緊急報道態勢を敷き、被害者を救えと大々的なキャンペーンを展開中だ。こういう時こそ同胞愛を発揮すべきであり、対北救援運動が国民レベルに広がっていることに何か信頼感のような気持ちが湧いてきた。

 人道支援の輪は広がっており、韓国、国際機関のほか、中国、日本、EU(欧州連合)などに加え、米国も緊急支援額10万㌦を提示した。在日社会でも、朝鮮総連が義援金や救援物資を募っている。在日韓国民団も復旧の手助けをしたいと募金を始めた。

 いうまでもないことだが、立場や思想、信条、イデオロギーを超えて国際社会は人道主義の力をみせてほしい。(S)