アジアの大砲が火を噴いた。
4月4日、プロ野球対ダイエー戦でロッテの主砲、李スンヨプ選手が145キロの直球をはじき返した打球は、ロッテファンの陣取る右翼席をはるか上に越えて、駐車場に止めた観客の車のリアガラスを直撃した。推定160㍍、超特大の場外ホームランだ。
テレビ解説者は、「メジャーリーグでもこれだけのホームランを打てるバッターは何人もいない」と驚いた。勝利を呼び込んだ文句なしの一発だった。李選手は翌日、今度は低めのカーブをひざをつくようにすくい上げ、左中間席に運ぶ「技あり」の一発を飛ばした。そしてチームの勝利に貢献した。
王選手の本塁打記録を抜く56本のアジア最高記録をひっさげて日本プロ野球界に登場した李スンヨプ選手。この力と技の一発を見て、「間違いなく実力は本物」と日本のファンも納得したことだろう。
実はほんのわずかだが、心配があった。8年前の1996年、韓国ナンバーワンピッチャーの宣銅烈投手が鳴り物入りで中日に入団した。だが、思ったような活躍はできず、当て込んで出版された彼の伝記本もあまり売れなかった。
その後も有力な韓国選手が日本プロ野球界に登場したが、期待はずれの成績に終わった。「所詮、韓国だけのスターにすぎない」と陰口も聞かれた。しかし、今回の李選手のホームランは、そのようなジンクスを覆した。引き続き日本のファンを驚かせる活躍を続けてほしい。
いま韓国のドラマ「冬のソナタ」が日本の多くの女性の心をとらえ、先日来日した主役のペ・ヨンジュンの甘いマスクを一目見ようと6万人のファンがイベント参加に応募した。
ロッテの助っ人、李選手はスポーツの世界でのペ・ヨンジュンになるかも知れない。ともかく、ドラマも野球も茶の間で庶民がみられるだけに、日常的に韓国が近くなっている。このような現象がどこまで広がるのか楽しみだ。(S)