韓日両国の元旦の新聞社説を読み比べてみた。各紙とも通常より大きなスペースをさいているが、内容において大きな違いがあった。日本の有力各紙すべてが自衛隊のイラク派遣問題を重点的に取り上げているのとは対照的に、目を通した韓国の有力6紙にはイラク問題は一行もなかった。
全編イラク問題に終始した朝日新聞は、「軍隊」を欲する愚を批判した。逆に読売新聞は「戦後史を画する意義」と賛美している。
韓国でもこのイラク派遣問題は大論争を巻き起こしただけに、どの社説も一行も触れてないのは不思議でもあった。韓国各紙の社説に共通しているのは、経済が大事であり、政経癒着を断ち切り政治・社会の混乱を速やかに収拾しなければならないという点だった。
東亜日報は「葛藤と分裂と政争の一大混乱の中で国力が消耗し、経済と民生の漂流が放置された。輸出一つを除けば、政策不在、労使不和、投資不発、金融不安、家計借金、信用不良、消費不振の悪循環に陥った」と指摘、経済復活に総力を傾けようと訴えた。中央日報は、「国のすべての関心と力量を経済一つに集めなければならない」と言い切っている。さらに朝鮮日報は人口の1割近い500万人が一日の生活にも苦労している現実を直視し、貧困を退治すべきだと力説している。
考えてみるに、戦闘地域への海外派遣が戦後初めての日本と比べ、徴兵制の国でベトナム戦争などに参戦経験もある韓国の違いがあるのかも知れない。特に、IMF危機当時より深刻という声もある経済問題を抱える韓国である。その願いは「大韓民国、再び立ち上がろう」「決断し行動する時だ」という社説のスローガンに込められている。この点については「にっぽん再起動」(日本経済新聞)と連動しているようにも思える。(S)