解放60周年・分断60周年の今年、韓半島では南北統一への静かな足音が聞こえてくるようだ。在日の友人同士の飲み会などがあると、韓国の対北朝鮮観の変化について盛り上がることが多い。そういえば韓国で今年大ヒットした映画『ウェルカム・トゥ・トンマッコル』も、南北兵士の交流を描いた作品である。
このような南北和解ムードは、98年に就任した金大中前大統領の太陽政策である。2000年6月には、韓国大統領として初めて北朝鮮を訪問、金正日総書記との首脳会談を実現し、南北和解に具体的道筋をつけた。
退任後も、研究所を設立して南北統一へ向けた活動を行っている。
その金大中前大統領が5日、ソウルの城南韓国学中央研究所で行われたシンポジウム「文明と平和国際フォーラム」で統一問題について発言。「南北の平和と共存に向けた新しいスタートのために、韓国側の南北連合制と北朝鮮の『低い段階の連邦制』を統合した統一の第一段階に入る時が来た」と語った。
金大中氏は長い政治活動の中、死刑判決を受けた経験を持つ。獄中生活や海外での亡命生活も経験しており、政治嗅覚には独特の鋭さがある。今回の発言も南北関係のうねりを察知したものかもしれない。
実際、南北関係は太陽政策推進後の7年間で大きく変化した。シドニー、アテネと2度のオリンピックで南北同時入場行進が実現。将来の単一チームも作られようとしている。北の金剛山観光には、100万人を超す韓国人観光客が訪れた。白頭山、開城観光も解禁されようと
している。開城工業団地にも韓国企業が進出している。
「6者協議の枠組みを将来、韓半島と北東アジアの平和を共同で進める機構に発展させるべき」とも金前大統領は語っている。4大国を含み統一へのロードマップが今後どうなるか、大いに注目したいものだ。(L)