韓国第2の都市、人口約400万人の釜山市に世界の視線が集まっている。
米国、中国、日本、ロシアなど世界21カ国の首脳ら、政治、経済界のトップら約1万人が集まった2005アジア太平洋経済協力会議(APEC)が連日開かれているからだ。
釜山にとって世界への情報発信を行い、知名度アップへのまたとないチャンスである。
その港町釜山には、いろいろな悲しい過去があった。日本による植民地時代、関釜連絡船に乗って日本の下関に向かう韓国人の、祖国との別れの地だった。
さらに歴史を遡れば、豊臣秀吉の朝鮮侵略では日本軍との交戦が行われた場所でもあり、釜山の龍頭山公園には、李舜臣将軍の記念像が立っている。また朝鮮朝が徳川幕府の将軍代替わりに派遣した朝鮮通信使の通り道としても知られる。
その縁でいまも釜山市と長崎県対馬は姉妹都市関係を築き、朝鮮通信使を再現する催しが定期的に行われている。対馬の高校を卒業後、釜山の大学へ留学する制度も出来ているほどだ。
現在も日本の博多、福岡、下関からフェリーや高速船で気軽に訪ねることが出来、在日韓国人や日本人観光客にとって、ある種の感慨を抱かせる都市である。
2002年サッカーW杯の開催や2002年釜山アジア大会などの開催で、国際的に知名度をアップしてきたが、さらに盧武鉉政権が打ち出す「東北アジア物流中心国家」の一環として、2011年の完成を目指して新港湾の建設を進めている。
許南植・釜山市長はこのほど、APEC開催で世界の耳目が集まったのをきっかけにオリンピックも開催したいとして、「2020年第32回夏期オリンピック」の誘致宣言を行った。
港湾都市から世界都市への飛躍を目指す釜山市の動向に、今後も注目したい。(L)