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2005/11/04

<鳳仙花>◆新国立中央博物館◆

 新韓国中央博物館が先週末にオープンした。初日の入場客は2万人に達し、入場待ちのため2㌔の列ができ、最寄りの地下鉄二村駅は普段の乗降客が3000人程度なので大混雑となったという。国民の関心の大きさを物語るものだが、何がこれだけ人々を惹きつけたのだろうか。

 まず規模の大きさがある。ソウル・竜山の米軍跡地に確保した31万平方㍍の敷地、地上6階地下1階建て(延べ面積13万4000平方㍍)の建物、延べ展示面積2万7000平方㍍。規模からみて世界6大博物館の偉容を誇り、すべてを観覧するには、とても1日では見きれない。

 中身も充実している。所蔵品は15万点にのぼり、日本への影響が如実な百済の金剛弥勒菩薩半跏思惟像、復元された高さ13・5㍍の高麗の大理石製十層塔、朝鮮書芸の巨人、秋史・金正喜の最高の名作「歳寒図」、李舜臣将軍の長剣など国宝59点、宝物79点が含まれている。日本から返還されたばかりの北関大捷碑も展示され、人だかりができたという。ともかく、国民が歴史を学ぶのに遜色のない遺物の質と水準といえる。

 振り返ってみれば、韓国中央博物館は数奇な運命をたどってきた。今年は開館60周年だが、韓国戦争などのため6度の移転を余儀なくされた。だが、今度は耐震・耐熱構造など自然災害にも十分耐えられる設計になっている。8年かけてやっと完成した世界的な博物館に今後どれだけの遺物が集まるのかが次の課題だ。

 金宗圭・韓国博物館協会会長は、「ロンドンの大英博物館や米国のメトロポリタン美術館を訪問して感じた羨ましさを、わが博物館でも抱けると期待している。内容でも世界的な博物館として韓国と韓民族を代弁する文化の鏡になってほしい」と述べている。大英博物館、ルーブル美術館、メトロポリタン美術館、エルミタージュ美術館は世界4大ミュージアム(日本語訳は博物館・美術館)といわれる。韓国国立中央博物館がそのような名声を博すように育んでほしい。

 年末までは入場料が無料である。この機会に日本からもぜひ一度訪れてみてはどうだろうか。(S)