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2005/05/27

<鳳仙花>◆ノーベル賞最短の黄禹錫博士◆

 韓国が世界を震撼させた――ソウル大学の黄禹錫(ファン・ウソク)博士(52)チームが、脊髄マヒ患者と糖尿病患者らの体細胞を使ってクローン胚をつくり、それを基に胚性幹細胞(ES細胞)を生み出すことに成功したニュースは、世界を駆け巡り、マスメディアや研究者を驚かせた。

 ES細胞は「万能細胞」と呼ばれ、拒絶反応のない臓器や組織がつくれる。黄教授の研究成果は画期的で、これによって、英国の天才的な物理学者スティーブン・ホーキング博士が侵されたALS(筋委縮性側索硬化症)などの難病治療に道が開ける。まさに人類の救世主となる開発で、快挙といえよう。

 実用化にはなお研究が必要で、黄教授は今秋から世界で初めてクローン羊「ドリー」を誕生させた英国のイアン・ウィルムット博士と共同研究を進めるという。

 韓国では、科学界初の「ノーベル賞候補」と国を挙げて熱狂しており、青瓦台(大統領府)が黄教授を「国宝」として24時間身辺警護をつけているほどだ。科学者の警護は異例で、それだけ黄教授への期待は大きい。米ニューヨークタイムズなど世界のマスコミも「韓国が再生医療で一歩リード」「黄教授は人類のために戦う戦士だ」と絶賛し、世界中が関心を寄せている。

 黄教授は、貧しい母子家庭に育ち、母親が牛1頭を借金して購入したのをきっかけに獣医を志した。研究熱心で、ソウル大教授に就任して19年間、1日4時間の睡眠しか取らず、研究室には最初に来て一番最後に帰るという生活を続けたという。「天才は努力の異名である」といったエジソンのことばを思い出す。

 黄教授は、これまでに牛と豚のクローン、BSE(狂牛病)耐性牛を誕生させるなど目覚しい成果を上げている。BSE耐性牛は日本に送られ、6月からつくばの動物衛生研究所でプリオン病の韓日共同研究が始まる。これを機に、韓日の科学交流が進むことを期待したい。(G)