インドネシアのスマトラ沖で再びマグニチュード(M)8・5の大地震が発生し、多数の犠牲者を出している。昨年のような大津波は起きなかったが、周辺諸国にも被害は及んでおり、この地震の影響で釜山でも揺れが観測されたという。先月の福岡・西方沖地震の際にも、釜山は震度4を記録、ソウルなど韓国各地で揺れを感じた。
韓国は滅多に地震が起きない国だ。しかし、周辺各地で起きた災害の影響によっても地震が起きており、もはや「対岸の火事」ではなくなっている。油断は禁物だ。過去の例をみても、76年に中国・唐山で大地震が発生した時には、2年後に忠清南道・洪城でM5の地震が発生し、死者2人、200人以上の被害者が出た。95年の阪神・淡路大震災の翌年には江原道・寧越でM4・7の地震が発生している。韓国地質資源研究院の地震研究センターは、韓国でも大地震発生の可能性があると警戒を呼びかけているが、真剣に耳を傾ける時だと思う。
もちろん、韓国でも対策が講じられていないわけではない。気象庁は全国75カ所で地震の観測をしており、日本の気象庁ともデータの交換をしている。5年前にはソウルにかなりの強度にも耐えられる耐震構造マンションが建設され話題になった。現在建設中の釜山新港も耐震を意識した設計が施されている。
だが、全体的な状況としてはまだまだ不十分であり、最近の国会審議では、韓国の建物の97・8%、地下鉄及び列車の98%が耐震設計がなされていないとの追及もあった。
世界各地で国を上げた災害に対する警戒態勢作りが始まっている。地震や災害は世界中のどこでも起こりうるものであり、常に天変地異に対する備えが必要だろう。これまで地震がめったに起こらなかった福岡・西方沖地震のケースもある。「備えあれば憂いなし」「転ばぬ先の杖」というが、最近の地震多発を教訓とすべきであろう。(O)