韓日のFTA(自由貿易協定)交渉が足踏み状態に陥っている。当初の予定では年明け早々に7回目の交渉が行われる予定だったが、2月になっても開催のめどは立っていない。このため、関係者の間からは、年内締結を危ぶむ声も出ている。
この原因は、水産物をめぐる韓日間の摩擦にあるといわれている。特にノリの貿易紛争が発端だとされる。
韓国政府は、日本のノリの輸入割当(IQ)制度がWTO(世界貿易機関)協定に違反する非関税障壁だとして昨年12月にWTOに提訴、さらに今月4日、紛争処理委員会(パネル)の設置を要請した。ノリのIQが廃止されれば、日本の業界は壊滅的な打撃を受けることから、日本は、この問題で一歩も譲れないという姿勢を示している。
IQ制度は、これまでも実施されてきた。それが突然、WTOへの提訴にまで及んだのには、日本が今年から中国にもノリの輸入割当を配分し、韓国の割当量が減るという背景があるといわれるが、果たして両国は、この問題を十分論議したのかどうか疑問だ。
韓国側にとっても、韓日FTAによって部品産業などが大きな打撃を被ることから、関連業界の反対が根強い。しかし、こういった障害はFTAにはつきもので、これだけにこだわって、交渉が頓挫するようなことがあってはならないだろう。
韓日FTAは、両国の経済発展と交流拡大に不可欠であり、欧米に比べて遅れているアジアの連携に大きな役割を果たすはずだ。自国の利害に執着せず、大局的視点に立つことが必要だろう。
特に日本は、米国に次ぐ世界第2位の経済大国であり、世界経済をリードする国としての振る舞いが必要ではないか。韓日首脳は、昨年12月の指宿会談でFTA交渉の年内妥結に合意している。小異を捨て大同に就くことが肝要で、韓日とも意を尽くしてほしい。(F)